日本では現在、3人に１人が癌で亡くなっており、日本人の死因で最も多い病気です。近年、分子標的薬や免疫治療薬の進歩で、癌に対する薬物治療が目覚ましく進歩している一方で、治療を行ったにも関わらず病気が進行してしまった方や、年齢や全身状態、あるいは副作用などのために薬物治療を受けることが難しい方も沢山いらっしゃいます。長年、癌治療の専門医として手術、薬物療法など様々な治療に取り組んでまいりましたが、それらの治療と同様に、病気が進行してしまった患者様に対しても、少しでも苦痛を和らげ、尊厳を持って日々の生活を送れるよう、心をくだいてまいりました。痛みや息苦しさなどの身体的な苦痛を緩和するだけでなく、不安や悲しみといった精神的な苦痛にも向き合い、患者様やご家族とよく話し合い、その方の希望に最大限叶うかたちで日々の生活を送れるよう、お手伝いしたいと考えております。 自宅でご家族と出来るだけ長く過ごしたいと考えられている方には、往診や訪問診療を行います。介護のストレスで、ご家族も心身の調子を崩されたりすることのないよう、ケアしていきたいと考えております。また、住み慣れたご自宅で、少しでも長く暮らしたいと考えられているお一人暮らしの方にも、きめ細かく心身のサポートをしていければ、と考えております。
自らが望む人生の最終段階における医療・ケアについて、前もって考え、医療・ケアチーム等と繰り返し話し合い共有する取組を「アドバンス・ケア・プランニング（ACP）」と呼びます。患者様一人一人とアドバンス・ケアプランニングを積み重ねながら、少しでも実りある時間を送ることができるよう、力を尽くしていきたい所存です。
